産後クライシスをご存知ですか?
じつは、産後に離婚率が増えるきっかけはクライシスが原因といわれています。
ひょっとするとシングルマザーやシングルファザーが多いのは
この産後クライシスも多く関係しているのかもしれません。
せっかく子どもを授かったのなら、できるかぎり離婚しないで
夫婦仲が円満が理想ですよね。
そこで、今回は産後クライシスの原因や症状、予防法、改善方法などについて
徹底的に解説していきます。
ぜひ、今後の夫婦関係の円満のためにお役立てください。
産後クライシスとは 産後クライシスはいつから いつまで
産後クライシスとは、女性が子どもを出産したことをきっかけに、夫婦の仲が産前よりも悪くなることを現した言葉です。
女性は、子供が生まれたその日から24時間体制の育児が始まります。
そのため、ホルモンバランスが崩れたり、睡眠不足が続くなどの要因が重なることが、産後クライシスにつながると言われています。
産後クライシスは、早い人では子どもが生まれたその日から始まり、子どもが2歳になる頃まで続くこともあります。
また、24時間体制で育児をしている女性に比べて、今までと変わらない生活ぶりで過ごす男性に、ストレスを抱える母親も多いですので、男性の積極的な育児参加も不可欠です。
産後クライシスの症状
産後クライシスには以下のような症状があるといわれています。
・イライラしたり、感情の起伏が激しい、さらに嫌悪感を感じる
・警戒心を抱くようになったり神経質になる、触れられたくない、子供を触られたくない
産後クライシスの症状:イライラする・感情の起伏が激しい・嫌悪感を感じる
産後クライシスには、日常的にイライラする、感情の起伏が激しくなり、主に夫に対して触れられることさえ嫌と感じるほどの嫌悪感を覚えるという症状があります。
たとえば、『夫が畳んだ服のたたみ方が違う』などのように、今までは気にならなかった出来事が気になり始め、そのイライラを夫に過度にぶつけてしまうなどの例があります。
また、夫に触れられることはおろか、同じ空間で生活をすることにすら嫌悪感を覚えてしまうというケースも多いです。
このような産後クライシスの症状は、自身でも自覚はあるのですが、どうしても気持ちに歯止めがかからなくなり、夫に対してあからさまに嫌な態度をとったり、怒りという形で気持ちをぶつけてしまうという特徴があります。
産後クライシスの症状:警戒心を抱くようになる・神経質になる・触れられたくない・子供を触られたくない
産後クライシスには、周囲の人に対して警戒心が強くなったり、自分や子どもに触られたくないと感じるという症状があります。
このような症状は、特に子どもが生まれたばかりの頃に特に強く見られる症状で、生後間もない我が子を守ろうとする母親の本能からくるものだと言われています。
そのため、産前は協力して育児をして行きたいと思っていた夫や、可愛い孫を抱かせたいと思っていた義母にすら、子どもに触れて欲しくないと感じてしまう例も多いです。
また、他人に許可なく子どもの写真を撮影されると、非常に嫌悪感を覚え、その場で注意をしたり消してもらうこともあるほど、母親は神経質になるというケースも少なくないです。
産後クライシスの原因
産後クライシスには以下のような原因があるといわれています。
・女性ホルモンバランスの急激な変化
・妻の育児疲れ
・妻の生活リズムの変化や睡眠時間が短い
・自分の時間がとれない
・夫がイクメンになってくれない、または、父親である自覚が無い
・里帰り出産
・夫婦間のコミュニケーション不足
産後クライシスの原因:女性ホルモンバランスの急激な変化
産後クライシスの大きな原因の1つに、ホルモンバランスが崩れることが関係していると言われています。
女性ホルモンは、妊娠時から体内で赤ちゃんを育てるために黄体ホルモンの分泌が増加しますので、この頃からホルモンバランスには大きな変化が現れ始めます。
ですので、妊娠中からストレスを感じやすくなる人は、この黄体ホルモンが増加していることが関係している可能性も高いです。
そして、出産をしますと、身体は妊娠前の元の状態に戻ろうとしますので、妊娠中に増加した黄体ホルモンが一気に減少していきます。
このようなホルモンバランスの変化により、自律神経のバランスが乱れたり、セロトニンの分泌が悪くなり、ストレスを感じやすくなったり、感情の起伏が激しくなるなどの症状が現れるようになります。
産後クライシスの原因:妻の育児疲れ
産後は、特に母親は24時間体制での育児をすることになります。
つまり、昼間だけではなく夜もミルクや授乳の時間には起きなくてはなりませんし、赤ちゃんが泣きぐずったら抱っこをして一晩中、寝ずにあやしていることも珍しくはありません。
さらに、“赤ちゃんをあやしたり、赤ちゃんを連れて出かけるときには抱っこをしていますので、かなりの体力を使います。
また、赤ちゃんがなぜ泣いているか分からないこともよくあり、どうして良いか分からず、精神的にも気疲れしてしまうケースも多いです。
このように、育児は体力的にも精神的にも大変と感じることが多いですので、特に父親はできる家事は手伝い、家にいる時は子どもの面倒を見て、母親の自由な時間を少しでも作ってあげることで、育児疲れは軽減されます。
産後クライシスの原因:妻の生活リズムの変化・睡眠時間が短い
前述のとおり、産後クライシスの原因の1つには、母親が十分な睡眠時間を取らないことが挙げられます。
また、似たような理由として、妻の生活リズムが急激に変化することが原因になることも多いです。
例えば、今まではそつなく家事をこなしていた女性が、赤ちゃんが生まれたことで、赤ちゃんにミルクをあげたり、授乳をしたり、泣いている赤ちゃんをあやしたりすることなどに時間をとられ、自分が思うように家事を進められないというケースはよくある話です。
このようなケースに陥った場合、女性は今まで出来ていたことが思うように出来なくなることに、強い憤りを感じます。
主に完璧主義で責任感が強い女性が悩みやすく、家事が疎かになることを責任を果たせなかったと感じることで、産後クライシスに陥る大きな原因となりやすいです。
産後クライシスの原因:自分の時間がとれない
産後は、母親は特に、予想していたよりも自分の時間をとることができません。
例えば、お酒などは妊娠中から控えなくてはなりませんし、産後も授乳をしている期間はもちろん、ミルク育児であったとしても、体調を崩しやすい赤ちゃんのことを考えますと、お酒を飲めるタイミングは限られてきます。
また、夜は夫も帰ってくるため夕飯の支度をする必要もあり、母親は夜に友人と会うことも難しくなってしまいます。
さらに、昼間に友だちと出かけるとしても、赤ちゃんがいるということで行動範囲はかなり狭くなってしまいます。
このように、これまで仲良くしてきた友人とも会える機会が減ることで、他人と会話することも少なくなり、相談や愚痴をこぼす相手もいなくなることも、母親が1人でストレスを抱え込んでしまう要因の1つです。
産後クライシスの原因:夫がイクメンになってくれない・父親である自覚が無い
母親は、妊娠中から自らの身体の変化もあり、自分が母親になるという覚悟や自覚が芽生えてきます。
その一方で、父親は赤ちゃんが生まれて自分の目で我が子を目の当たりにすることで、父親である自覚を持ち始めることが多いです。
ですので、母親が期待するよりも、父親が育児に参加してくれないと感じるケースは少なくありませんが、父親もどのように育児に参加をすればよいのか分からないという場合も考えられます。
また、『隣の芝生は青い』というように、他の夫がしてくれることを、自分の夫はなぜしてくれないのだろうと不満に思ってしまうことはよくある話です。
母親は、自分と夫の間には親になるための覚悟ができるまでの期間に差があることも知っておく必要があります。
産後クライシスの原因:里帰り出産
産後、母親が実家に里帰りをするケースは非常に多いです。
特に、初産ですと慣れない育児に疲れや不安を覚えることも多いですので、実家に里帰りすることで精神的にも安定して子育てがしやすい環境になります。
しかしその反面、里帰り期間が終わり自分の家に帰ると、今までは親がしてくれていた家事を自分でしなくてはいけなくなり、育児に専念できない部分もでてきます。
そして、育児と家事を両立させようとしますと、部屋が散らかりっぱなしになったり、ご飯を食べる時間すら取れなかったりと、ストレスを抱える部分が増えてきます。
さらに、里帰り期間中に我が子に接していない父親は、子育ての大変さが分かりづらいですので、育児も家事も手伝ってくれないというケースも少なくないため、里帰り後、急激に母親の負担が増えてしまいます。
産後クライシスの原因:夫婦間のコミュニケーション不足
産後は、夫婦間での会話や外出が減っていく傾向があります。
このような現象は、母親が子供の世話をすることに精一杯で、夫とのコミュニケーションを取る余裕が無くなってしまうために、産後は起こりがちな現象です。
また、前述のように母親が里帰りをしている期間中は特に、夫婦が顔を合わせることすらないような時期もあり、お互いの距離が遠くなってしまうケースが多いです。
このように、夫婦のコミュニケーションが減っていきますと、お互いに対する興味も薄れてきて、夫婦が別々の行動をするようになっていきます。
そうしますと、私生活での出来事や子供の成長などの喜びを共有できなくなってしまい、お互いの存在価値を見出せなくなってしまいます。
産後クライシスの離婚率
厚生労働省の調べでは、現在の日本人の離婚率はなんと3割にものぼると言われています。
さらに、その中で離婚したタイミングの三分の一を占めるのが、産後2年の間であるという統計が出ています。
この2年間という期間は、産後クライシスに陥りやすいとされている、子どもが2歳になるまでの期間とも重なっています。
つまり、産後2年以内離婚した夫婦は、産後クライシスが原因で離婚をした場合が多いと言われています。
また、産後クライシスにより離婚を選択した夫婦の中には、離婚したことを後悔しているという意見も多数あります。
ですので、この産後2年の期間を乗り越えると、夫婦の離婚の可能性を大きく減らすことができると考えられます。
産後クライシスで離婚して後悔したこと
産後クライシスが酷いとされる、産後2年という期間内に離婚をした夫婦の中には、産後クライシスから抜け出した後、離婚したことを後悔しているケースも少なくはありません。
なぜならば、産後クライシスが原因で離婚をした夫婦は、もともとお互いのことが嫌いになって別れたわけではない場合が多いからです。
ですので、子どもが手がかからなくなってくる時期になりますと、徐々に余裕を持った生活ができるようになってきて、夫婦もお互いのことを改めて考えられるようになってきます。
すると、産後クライシスの時期には、「こんな父親ならいらない」と思って離婚をしたとしても、落ち着いて考えると「夫も大変だっただろう。子供のためにも離婚をしない方が良かったかもしれない」などのように離婚したことを後悔するケースも多いです。
産後クライシスを経験した芸能人
赤ちゃんが生まれると多くの人が経験をすると言われる産後クライシスは、一般人だけでなく芸能人でも同じです。
例えば、現在ではママタレとしてテレビに出演していて、育児本なども出版している芸人の『くわばたりえさん』も、子どもが産まれた頃は産後クライシスに悩んだと話しています。
くわばたさんの場合は、仕事から帰って来てからの短時間だけ、子供の面倒を見る夫に対して、皮肉めいた言葉をかけてしまったと言います。
しかし、冷静になった時に、くわばたさんは言い過ぎたと謝罪をした上で、その日、大変だったことなどを夫に話したそうです。
すると、夫も労いと感謝の言葉をかけてくれて、その後は育児にもより協力的になり、くわばたさんの話にもよく耳を傾けてくれるようになったそうです。
産後クライシスになりやすい人の特徴
産後は、今まで完璧にできていた家事が出来なくなることに、ストレスを感じる母親も多いです。
さらに、赤ちゃんが生まれる前にたくさん育児本を読んだりして勉強をしていた母親は、なかなか育児本のとおりには行かず、悩みを抱えてしまいがちです。
このように、完璧主義や神経質な母親は、産後クライシスにも陥りやすい傾向にあります。
また、父親が亭主関白であったり、仕事一筋であったりしますと、なかなか父親の協力や理解を得られずに、母親が一人で悩みを抱えてしまうケースも多いです。
そして、これらの悩みを夫婦で話し合う環境が家庭内で整っていないと、お互いが理解し合えないまま産後クライシスは悪化をして、離婚にまでつながってしまうことになります。
産後クライシスの乗り越え方・改善方法・予防法
産後、多くの母親が経験をするという産後クライシスを、うまく乗り越えるためには、以下の対策が効果的です。
・お願いしたいことは言葉で伝える
・何事にも完璧を求めない
・夫婦のコミュニケーションをしっかりとる
お願いしたいことは言葉で伝える
日常的に家事と育児を行なっている母親にとっては、わかって当たり前のことでも、日中は仕事で家にいない父親にとっては分からないことはたくさんあります。
例えば、子どもが泣いていれば、母親は「抱っこしてよ」とか「オムツ変えてよ」などと思ってしまうでしょう。
しかし、思っているだけでは父親には伝わりにくいですので、何度も繰り返し言うことで、父親も家事や育児のタイミングをつかむことができるようになってきます。
ですので、して欲しいことがあるときには、「抱っこしてあやしてちょうだい」のように、お願いする形で言葉にすることで、父親もだんだんと育児に参加しやすくなります。
また、夫婦がお互いに相手に対する感謝の気持ちを言葉に表すことで、父親はより家事や育児を手伝ってくれるようになり、母親も明日からまた頑張ろうという気持ちが持てるようになります。
何事にも完璧を求めない
前述のとおり、産後クライシスに陥りやすい人の特徴として、完璧主義という点が挙げられます。
今までできていたことが、急にできなくなるということは、非常にもどかしく自分を責めてしまいがちになってしまいます。
しかし、育児をしている以上、誰しも家事が疎かになってしまうことは仕方のないことです。
ですので、完璧にできない自分を責めるのではなく、時には夫に助けを求めることもできるようになると、自然と気持ちも楽になります。
夫婦のコミュニケーションをしっかりとる
母親は、24時間体制で育児をしていて、睡眠不足などからイライラしてしまうケースも多いです。
ですが、ここでイライラを態度に現してしまうと、夫も声をかけづらくなってしまい、夫婦の溝は広がってしまいます。
また、夫婦での会話がなくなると、子育てについての話をすることもなくなりますので、父親は我が子の情報を得ることができず、結果的に父親が子育てを手伝うことも難しくなってしまいます。
つまり、夫婦でコミュニケーションをしっかり取ることが、母親が望む父親の育児参加にもつながるようになります。