モラハラとは、モラルハラスメントの略語で、社会的、道徳的な考えを特定の相手に対して強要する嫌がらせのことです。

そして日本では離婚する夫婦の理由としてモラハラが挙がることが多いです。

じつは、このモラハラをする夫、通称モラハラ夫は子供に対して深刻な影響を与えると言われています。

もし離婚を考えるほど重度のモラハラ夫なら、離婚に関しても自分のモラルを振りかざして来ることは大いに考えられます。

子供の将来のためにもモラハラ夫が子供に与える影響をまず知っておくようにしたいところです。

そこで、今回はモラハラ夫が子どもに与える影響についてありがちなケースをご紹介していきます。

モラハラ夫が子供に与える影響

モラハラ夫が子どもに与える影響には以下のようなケースがあります。

・子供がキレやすくなる
・他人を傷つけていることに気づかない
・自尊心が低くなる
・優等生を演じる

子供がキレやすくなる

妻に対して日常的に些細なことで声を荒げるモラハラ夫を見て育った子供は、キレやすく我慢ができない性格になる傾向があります。

なぜかと言いますと、幼少期は特に、親の言うことや行動の全てが、子供にとってはお手本になってしまうためだと考えられます。

幼少期の子供は、良いことは真似をして悪いことは真似をしないという分別をつけることは難しいです。

ですので、親がすることをみて、世の中を生きていく術を学ぶ子供は、親の存在そのものをお手本として真似をすることで成長していきます。

このような理由から、日常的に些細なことでキレる父親を見て育った子供は、それが当たり前のことなのだと捉えてしまい、子供自身も他人に対してすぐにキレる、我慢の効かない性格に育ってしまうと考えられます。

また、些細なことでキレやすくなることだけではなく、妻に過度の叱咤をしたり無視をしたりするモラハラ夫の姿を見ている子供は、父親の真似をして、自分の母親に対しても無視をしたり、命令口調になってしまう傾向もあります。

さらには、子供がこのような命令口調や無視をすることを、妻の教育が悪いと考えているモラハラ夫から妻は、「教育がなってない、母親失格だ」などの暴言を浴びせられて、教育方法に悩んでしまうことも多いです。

他人を傷つけていることに気づかない

モラハラ夫がいる家庭の場合、子供は物心がつく前から暴言の中で育っていることが多いために、子供も口調が荒く、友達など周りを傷つける言葉を平気で使ってしまう傾向があります。

このような場合、子供は、友達を傷つける言葉を言ったという自覚がありませんので、周りの大人たちから「謝りなさい、ごめんなさいは?」などと言われても、なぜ謝らなくてはならないのかを理解することができません。

また、モラハラ夫が、妻を馬鹿にする姿を毎日のようにみている子供は、他人に対してさげすんだ態度をとることも当たり前という、間違えた価値観を持ってしまうことも多いです。

たとえば、自分よりも小さい子供をいじめたり、先生が言うことを無視したり、注意されたことに逆上してしまうケースもあります。

特に、子供に対して注意する先生が女性の場合は、より話を聞き入れなかったり、ひどい口調で反論してきたりする場合も多いです。

なぜならば、子供の家でも、女性である母親(妻)が父親(モラハラ夫)に罵倒されているのを目の当たりにしているため、『女性はさげすまれる存在である』という間違えた価値観を持ってしまうと言われています。

自尊心が低くなる

モラハラ夫は、妻に対してのみならず、子供に対しても過度の叱咤や、人格を否定するほどの罵倒をする場合もあります。

このように、父親からモラハラを受けた子供は、全てを否定されるような言葉を父親から言われたことで、自分に自信がなくなり自尊心が低くなる傾向にあります。

人格を否定されるような言葉を、日常的に父親から浴びせられていた子供は、自分が出来損ないの人間かのように感じてしまい、他人と関わることを極度に恐れてしまいます。

そのため、子供は自宅に引きこもりがちになったり、精神的な疾患を患ったりしてしまうケースも多くあります。

このような自尊心が低くなるケースは、父親によるモラハラが母親だけでなく子供にも向けられていた場合や、子どもが親の真似をする幼少期を終え、自分で物事を考えるようになった児童期ごろから、モラハラが始まった場合などによく見られるケースです。

優等生を演じる

モラハラの環境下に置かれている子供は、優等生を演じていることが非常に多いです。

父親によるモラハラが日常的に起こっている家庭では、子供は大きく2つの意味合いで優等生になろうとします。

まず1つは、子供自身の保身の気持ちです。

父親によるモラハラが、母親に向けられているのを目の当たりにしていた場合、子供は母親が可哀想と思う反面、父親の怒りの矛先が自分に向かないでほしいと願います。

また、父親から子供に対してモラハラをされていた場合、なおさら「これ以上辛い思いをしたくない」とか「自分が怒られるようなことをしなければ良いのだ」と、考えるでしょう。

すると、子供は自分に怒りの矛先が向かないように、また、これ以上自分自身が怒られないようにと、優等生を演じることで父親から褒められ、モラハラから逃れようとします。

2つ目の理由としましては、自分がいい子になることで、父親のモラハラ自体を緩和させようとする気持ちです。

このように、自分がいい子にしていることで、母親に対する父親の態度も優しくなると考える子供は、過去に実際にそのような経験をしていることが多いです。

例えば、いつものように父親が機嫌が悪い時に、子どもが学校のテストで100点を取ってきたことを報告すると、父親は急に機嫌が良くなり、子供を褒めると共に「良い教育をしている」と、母親のことを褒めたことがあったとします。

このような経験をしますと、子供は「自分が頑張ることで、母親も褒められるのだ」と思い、「自分が良い成績を残すことができれば、母親を守ることができる」と考えます。

この結果、子供は優等生を演じて父親を喜ばせることで、母親のことも守ろうとする行動に出ます。

しかし、もし万が一、子どもが良い成績を残せなかった際には、モラハラ夫は子供ではなく母親に対して「どんな教育をしているのだ、母親失格だ」などという罵倒をするケースが多いです。

こうなりますと子供は「自分のせいで母親が怒られた」という自責の念にかられてしまい、塞ぎ込みがちになってしまいます。